こんにちは、北米駐在員だったきーさんです。久しぶりの記事になります。
「だった」と記載している通り4、5年ほど前に本帰国になり日本でのまったり生活を謳歌していたのですが、5年ぶり二度目の海外駐在になりそうな気配を感じたのでそわそわしております笑
さて、海外駐在が決まった皆さん、または私と同じように控えている方!
お金のこと、特に資産運用について、色々と考え始めている頃ではないでしょうか?
今回の記事は「新NISA制度を海外駐在員が最大限活用にする方法について考えてみた」という内容です。一度、駐在に出た会社員には2度目、3度目の機会がめぐってくるのはあるあるですよね。近いうちにくる駐在に備えて、自分事としてNISAについて考えてみました。
この記事でわかること
- 海外駐在員は新NISA制度をどこまで活用できるのか
- 非居住者でもできる現実的な資産運用戦略
- 駐在期間中の資産運用の選択肢と注意点
それでは順番に見ていきましょう。
海外駐在と新NISA:非居住者はどうなる?【基本ルール解説】
結論から言うと、海外駐在員は新NISA制度を「フル活用」することはできません!!
新NISAは日本国内に居住している人を対象にした制度であるため、基本的に非居住者は新NISA制度を利用した新規買付けができないことになっています。
非居住者とNISAの基本ルール
NISAについて、非居住者が受ける制限は下記の通り。
- 非居住者はNISA制度を利用した新規買付けはできない
- 5年以内の海外赴任であればNISA口座および購入済み銘柄の保有だけなら可能
- 全ての証券会社でNISA口座の保有ができるわけではない
ここで重要なのは「非居住者」の定義です。日本の税法上、1年以上海外に居住する場合は「非居住者」とみなされ、日本の税制の適用範囲外となります。これが新NISAの新規買付ができなくなる理由です。詳細は金融庁のウェブサイトなどで確認できます。
また金融庁のウェブサイトのNISAについての「よくある質問」のページでは「非居住者のNISA利用」について下記の記載があります。
Q:NISA制度を利用していますが、海外転勤のため出国することになりました。出国をしても、引き続き非課税の適用を受けることはできますか?
A:転任の命令等のやむを得ない事由により一時的に出国する場合には、予め手続きを行うことにより、NISA口座で保有する上場株式等について、一定の期間、引き続き非課税の適用を受けることができます
つまり出国した後は新たな買付はできないということになります。
また新NISA口座を持っている証券会社が海外駐在対応していなかった場合、赴任のタイミングで保有証券を売却する必要があるということです。
駐在でNISAが使えないと何が困る?2つのデメリット【徹底解説】
せっかくの新NISA制度ですが、駐在で使えないとなると具体的にどんなデメリットがあるのでしょうか?大きく分けて2つの視点から考えてみましょう。
デメリット1:資産形成のペースが遅くなる【複利効果の影響大】
一番シンプルなデメリットとしては、投資期間が短くなることです。
という人もいるかもしれませんが、これは複利の効果を甘く見ています。ここではその影響を簡単に試算してみましょう!
例えば、毎月2万円を積み立てて年利5%で運用するとします
まず駐在せず30歳から65歳の35年間丸々資産運用できた場合、元本貯蓄分:840万円、利益:約1150万円となり合計2000万円程度貯まることになります。
一方、最初の5年を駐在していて資産運用は出来なかったとすると、合計約1780万円貯まることになります。(内訳は下記の通り。
- 駐在中の貯金分:60か月(5年間)×2万円=120万円
- 資産運用分:元本貯蓄分720万円+運用利益分約940万円
デメリット2:投資がギャンブルに変わるリスク【売却タイミングの重要性】
この記事を読んでくださっている人なら新NISAのつみたて投資枠を利用して、オルカンやS&P500などのインデックスファンドに「ドルコスト平均法」で長期分散投資をしている方は多いと思います。
しかし、駐在によって新規買付ができなくなると、この「長期投資」という前提が崩れてしまいます。
さらに証券会社によっては保有している株式や投資信託を売却する必要が出てくる場合もあり、これは、せっかく積み上げてきた投資戦略を大きく狂わせる要因となります。
これは、自分の意思とは関係なく、売却のタイミングが決まってしまうことを意味し、最悪の場合には相場が悪い時に売却せざるえない状況におちいってしまうので、せっかくの「投資」が「ギャンブル」になってしまうリスクがあるのです。
駐在が決まったら?新NISA戦略3つの選択肢【駐在者向け完全ガイド】
では、駐在が決まったら、NISAとどう付き合っていけば良いのでしょうか?駐在が決まった人や駐在に行きたい人にとって現実的な選択肢を3つご紹介します。
選択肢1:【大前提】駐在中も口座保有可能!おすすめネット証券会社2選
これは大前提です。NISA活用以前に、NISA口座を保有できないと話になりません。駐在中も口座を保有できる証券会社を選びましょう!
まだNISA口座を持っていない人は、SBI証券または楽天証券のどちらかの証券口座から選んで開いておきましょう。
理由はざっくり下記の2点です。
- 海外駐在中も口座及び保有証券の維持ができる
- 優良な投資信託を取り扱っている
- 信託手数料が業界最安値水準である
どちらか迷う人は2025年現在であればSBI証券を選んでおくといいです。理由は人気のeMAXUS slimシリーズやSCHDを文字通り最安値の信託手数料で購入できるからです。
もちろん楽天証券でも信託手数料は同レベルですし、今後SBIとの競争で改善されていくと思うので本当に好みで決めてOKです。楽天カードをよく使う人は楽天証券でも良いかもしれませんね。
資産運用について、どうしても対面のサポートが欲しいという場合には野村證券でも海外駐在の対応をしてくれますが、駐在中はどうせ店舗を訪問することはできないので上述のネット証券の方が良いと思います。
もし既に上記以外の証券口座を保有している場合は、サポートに問い合わせるかネットで検索してみてください。各証券会社で微妙に対応が異なっているので、電話で実際の保有銘柄を確認しながら相談するのが無難です。
もし海外駐在非対応の場合はすぐに証券会社を変更するようにしましょう。新NISA口座の切り替えには数週間かかるので余裕をもって行動するのがおすすめです。
選択肢2:海外証券で賢く投資!非居住者向けおすすめ証券会社【情報追記予定】
そう思った方もいるかもしれません。そこで現実的な妥協案として、海外証券会社の利用を検討してみましょう。
日本の証券会社は非居住者の新規買付けを制限していますが、海外証券会社であればこの制限がないため、資産運用を継続できます。
帰国後はそのまま保有し続けても良いですし、一度保有銘柄を売却し、NISA枠として購入し直せばデメリットを最小限に抑えられるので状況に応じて対応を決めればよいかなと考えています。ただし、海外証券会社を利用する場合は、税務上の注意点(外国税額控除など)も考慮する必要があります。
この方法により、NISAの非課税メリットは得られませんが駐在による複利効果の損失(先の計算だと220万円)は回避することができます。
候補となる証券会社は下記のとおりです。
- IB証券
- フィリップ証券
- Firstrade証券
選択肢3:駐在前にNISA枠内での一括投資してしまう【リスク許容度に注意】
3つ目の選択肢は積み立て投資を行うのではなく、駐在する前に、NISA枠をすべて使って一括投資を行うことです。
これにより積み立て投資による「投資時期の分散」は出来なくなりますが、駐在中の新規購入できないデメリットを回避することができます。
でもこんなことを書くと
ドルコスト平均法で積み立てていかないと悪い時期に買っちゃったら損しちゃうでしょ!
こう思う人も多くいるかと思いますのもう少しだけ補足しておきます。
資産運用を長くされている方はご存知だと思いますが、実はドルコスト平均法などの積み立て方法は、長期を前提としたと資産運用のリターンにおいて最善ではないことが知られています。
リンク先は世界最大級の資産運用会社であるバンガードが発行したレポートで「一括投資と積立投資」について比較分析したレポートです。
- このレポートでは主に下記のようにまとめられています。
- 一括投資:短期では価格変動に影響される一方、長期になるほどより大きなリターンが得られる
- 積立投資:投資リターンは一括投資に劣るが、短期では安定しており心理的な負担を軽減できる
勘違いしてほしくないのですが、ここでお伝えしたいのは「一括投資もそれなりに有効な選択肢の一つじゃないですか?」ということです。
駐在中に積み立てることができない分を先に一括投資しておくのも選択肢としては悪くないので一度検討してみてはいかがでしょうか?。
もちろん人はそれぞれ年齢・職業・家族構成によってリスク許容度が異なりますのでご自身で判断しながら行ってくださいね。
まとめ:海外駐在と新NISA、賢く付き合おう!【3つの選択肢を比較】
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。海外駐在が決まった際のNISA戦略として、この記事では3つの選択肢を紹介しました。最後にそれぞれのメリット・デメリットを比較しながらまとめておきます。
選択肢 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
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SBI/楽天証券で口座維持 |
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海外証券の利用 |
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駐在前に一括投資 |
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上記のように、どの選択肢にもメリット・デメリットがあります。ご自身の状況(駐在期間、リスク許容度、投資スタイルなど)に合わせて最適な方法を選びましょう!!